なんとなく

落雷

ときに人は雷に打たれると言う。 脳天から入った電気は、足へと伝わりそのまま大地へ抜けていく。致死率は30%とも言われるこの現象は、生きるも死ぬも、当たるも当たらぬもそれこそ天任せだ。 その落雷が、今日俺の体を貫いた。 100万分の1の確率。いや。こ…

親愛なる君へ

君は愛の姿を知っているか? 誰もが知っているようでいて、その本当の姿を知っているのはほんの一握りなんだ。 僕らは人に愛の姿を教えるためにやってきた。 君は、愛とはどんな姿をしていると思う? それは、どんな触り心地だろうか? それは、どんな香りだ…

無くした鏡

鏡を無くしてから、君は自分の姿を忘れてしまったようだね。 ……おや、無くしたことに気付いていなかったのかな。もう何年も、自分の顔を見ていないだろう。その感じだと、最後に顔を見た日ももう覚えていないのではないかな。 君は今、どんな表情をしている…

きらめき

もし わたしの腕が切り落ちて ものが書けなくなろうとも それがあなたのためならば 受け入れることができるのか もし わたしの口が塞がって ものを言えなくなろうとも それが誰かのためならば 請け負うことができるのか もし わたしの命がかけられて 先を望…

霧の彼方

遠い遠い時間の海と 微かな声もかき消す淡い波の音 霧がかかって遠くは見えず 耳を澄ませど届くのは揺らぎばかりで そこに声はあるのかないのか ここにある心の音は 彼方へと届くのだろうか 景色をじっと見つめる月日 今日もまた変わらないねと そう語る君の…