賞味期限

本には賞味期限がある。

よほど劣悪な環境でなければ、買われた本は綺麗に積もられたまま、しずかに読まれる時を待っているように思われるかもしれない。

迎えられたばかりの本は、瑞々しくて、ほのかに甘い香りを放っている。
けれど開かれず置かれていると、出会った時に試した味わいももう分からなくなってしまい、なんとなく褪せたように思われるものだ。

それが、本の賞味期限だ。
食べられるけれど、風味の保証はなされない。